こんにちは、編集部の恵方巻子(えほう まきこ)です。
花粉症の季節が終わっても鼻水が止まらない。そんな経験はありませんか?もしかしたら「通年性アレルギー性鼻炎」かもしれません。日本の鼻アレルギー患者の約半数が通年性で、花粉症とはまったく別の病気です。原因はダニ・ハウスダスト・カビ・ペットなど、季節に関係なく室内に1年中存在するアレルゲンです。適切な診断と治療で症状はコントロールできます。
通年性アレルギー性鼻炎とは?
アレルギー性鼻炎には2種類あります。スギ・ヒノキなど特定の花粉が原因でシーズン中だけ症状が出る「季節性」と、ダニ・ハウスダストなど1年中室内に存在するアレルゲンが原因で症状が続く「通年性」です。
日本アレルギー学会の鼻アレルギー診療ガイドライン(2020年版)によると、アレルギー性鼻炎全体の約50%が通年性です。「花粉症じゃないのに年中鼻がぐずぐずする」という人の多くが通年性に当てはまります。
主な症状はくしゃみ・鼻水・鼻づまりの3つで、花粉症と違って目のかゆみはほとんど出ません。症状が比較的穏やかな分だけ、つい「これくらいなら」と放置されがちです。
(花粉症のほうが派手につらいので、通年性は見過ごされやすいんですよね。でも毎日じわじわ続く消耗感は、花粉症に負けません)
花粉症(季節性)と何が違うの?
症状だけ見ると花粉症に非常に似ているため、混同されやすいです。以下の表で主な違いを整理しました。
| 項目 | 通年性アレルギー性鼻炎 | 花粉症(季節性) |
|---|---|---|
| 発症時期 | 1年中 | 花粉飛散時期のみ |
| 主な原因 | ダニ・ハウスダスト・カビ・ペット | スギ・ヒノキ・カモガヤ等 |
| くしゃみ | 起床時に出やすい | 外出時・風の強い日に多い |
| 鼻水 | 水様性〜粘性(比較的少量) | 水様性(大量)が多い |
| 鼻づまり | 慢性的に出やすい | 鼻水のほうが多い傾向 |
| 目のかゆみ | 少ない〜ほぼない | 約60〜70%に合併 |
| 悪化する環境 | 室内(掃除後・布団干し後など) | 屋外・晴れた日 |
花粉症は屋外で悪化して帰宅すると楽になりやすい。通年性は室内でも悪化し、朝起きたときに特につらいのが典型的なパターンです。
主な原因アレルゲン
ダニ・ハウスダスト(最頻)
通年性の原因として最も多いのがダニです。ダニそのものよりも「死骸や糞」が微細な粒子になって空気中に舞い、吸い込まれることでアレルギー反応が起きます。湿度50%超・気温25度以上で急増するため、梅雨明けから秋にかけて症状が悪化しやすい傾向があります。
ハウスダストはダニの死骸・糞、ホコリ、カビの胞子、ペットの毛、人の皮膚片が混在したものです。成分が複合しているため、主な原因を特定するには血液検査が必要です。
カビ・ペット・ゴキブリ
カビ(アルテルナリア等)は浴室・押し入れ・加湿器内が繁殖場所で、喘息との合併率が比較的高いです。猫の上皮タンパク(Fel d 1)は強力なアレルゲンで、ペットを飼っていなくても友人宅訪問後に症状が出ることがあります。ゴキブリの死骸・糞も原因になり、都市部の集合住宅で多く見られます。
診断と治療の流れ
診断方法
血液検査(特異的IgE抗体検査)でアレルゲン別のIgE抗体量を測定します。原因アレルゲンを特定でき、保険適用で受診可能です。皮膚プリックテストはアレルゲン液を皮膚に微量つけて15〜20分で判定する方法で信頼性が高いですが、実施医療機関が限られます。耳鼻科での鼻鏡所見では、通年性に特徴的な蒼白な水腫様粘膜を確認できます。
市販薬でなんとなく過ごしている状態が1か月以上続くなら、耳鼻科受診をおすすめします。アレルゲンの特定なしに治療を続けても、症状コントロールに限界があります。
薬物療法
くしゃみ・鼻水には第二世代抗ヒスタミン薬(フェキソフェナジン・セチリジン等)が効果的で、旧世代に比べて眠気が出にくく長期服用しやすいです。鼻づまりにはステロイド点鼻薬(フルチカゾン等)が特に有効で、局所投与なので全身への影響は少ないですが、効果が出るまで1〜2週間かかる場合があります。抗ロイコトリエン薬(モンテルカスト等)は鼻づまりへの効果が期待でき、抗ヒスタミン薬と組み合わせるケースもあります。
薬の種類・量・組み合わせは症状の程度によって変わります。用量や服用方法は添付文書または薬剤師・医師に確認してください。通年性は薬との長いつきあいになることが多いため、処方薬を医師と相談して選ぶほうが長期的に費用対効果が高い場合もあります。
(市販薬で我慢し続けるより、耳鼻科で処方してもらうほうが結果的に安くすむことも多いです。定期通院の費用を含めても、むしろ節約になったりします)
舌下免疫療法(ダニ)
ダニが主アレルゲンと確認された場合、根治を目指す選択肢として「ダニ舌下免疫療法」が保険適用で受けられます。
- ダニエキスを含む錠剤を毎日舌の下に含ませる
- 治療期間:3〜5年が目安
- 対象:5歳以上でダニが主アレルゲンと確認された方
- 費用目安:月2,000〜4,000円程度(保険3割負担)
副作用は口腔内のかゆみ・腫れが多く、重篤なものは稀ですが開始直後は医師の管理下で実施します。治療終了後も長期間効果が持続するケースがあります。

日常でできるアレルゲン対策
ダニ・ハウスダスト対策
- 寝具に防ダニカバーをかける(布団・枕が最大の繁殖場所)
- 布団は週1回以上、掃除機をゆっくりかけるか乾燥機(60度以上)を使う
- カーペット・ラグは可能なら撤去、残す場合はこまめに掃除機がけ
- ぬいぐるみは定期的に洗濯するか、洗えないものは乾燥機で処理する
湿度・換気の管理
室内湿度を40〜60%RHに保つとダニ・カビの繁殖を抑えられます。梅雨から夏は除湿機やエアコンの除湿機能を活用し、冬の加湿は60%を超えないよう注意してください。超えるとカビが増えやすくなります。
掃除機がけは週2回以上が目安です。掃除後しばらくはダニの死骸が舞い上がるため、症状が出やすい方は1〜2時間は換気しながら別の部屋にいるのが有効です。
(掃除機をかけるたびに鼻水が止まらなくなる、という方。これはほぼダニアレルギーのサインです。巻子も経験済みで、今は掃除中マスクが必須になりました)
よくある質問
通年性アレルギー性鼻炎は自然に治るの?
自然に軽快することはまれで、アレルゲンとの接触が続く限り症状は持続します。くしゃみ・鼻水・鼻づまりが1か月以上続く場合は耳鼻科への受診をおすすめします。
花粉症と通年性、同時に持つことはあるの?
あります。「重複感作」と呼び、特に珍しくありません。花粉シーズンに症状が悪化するのに、オフシーズンも完全には治らない場合は両方が関与している可能性があります。血液検査でそれぞれのIgE値を調べれば確認できます。
子どもも通年性アレルギー性鼻炎になるの?
なります。ダニアレルギーは幼少期から形成されることが多く、慢性的な鼻づまりが集中力低下や睡眠障害につながる場合があります。舌下免疫療法は5歳以上から対象になるため、早期の診断・治療が大切です。
市販薬で対応できる?
鼻水・くしゃみが主なら第二世代抗ヒスタミン薬(フェキソフェナジン含有品等)が選択肢に入ります。ただし通年性は長期服用になりやすく、1か月以上続く場合は耳鼻科での処方を検討してください。用法用量は添付文書または薬剤師に確認してください。
通年性アレルギー性鼻炎は、派手ではなくても1年中じわじわ続く分、生活への影響が長引きやすい病気です。血液検査でアレルゲンを特定し、薬物療法と環境整備を組み合わせてコントロールする。根治を目指すならダニ舌下免疫療法という選択肢もあります。
「なんとなくずっと鼻がおかしい」という感覚、我慢しないでください。耳鼻科で一度しっかり診てもらうのが、一番の近道です。


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