こんにちは、編集部の恵方巻子(えほう まきこ)です。
花粉症の治療費、毎年なかなかの出費になっていませんか。処方薬の薬代、通院費、アレルギー検査……気づいたら年間3〜5万円超えていた、という方も少なくないと思います。実は、その出費の一部は確定申告で取り戻せる場合があります。今回は「花粉症・アレルギー治療と医療費控除」の関係を、セルフメディケーション税制との選択ロジックや申告手順まで含めて整理しました。
医療費控除の基本 — 計算式と10万円の壁
医療費控除とは、1年間(1月〜12月)に支払った医療費が一定額を超えた場合、超えた分を所得から差し引いてもらえる制度です。
控除額 = 支払った医療費の合計 − 保険金などで補填された金額 − 10万円
ただし、総所得が200万円未満の方は「10万円」ではなく「総所得金額の5%」が差し引かれます。所得が低いほど申告のハードルが下がる仕組みです。
たとえば年間の花粉症・アレルギー関連の医療費が16万円なら、控除額は6万円。所得税率が10%であれば最大6,000円の還付が受けられます。住民税(控除額の10%)も減額されるため、実際の節税効果はもう少し大きくなります。
(医療費控除は「大きな節税」というより「少し取り戻せる制度」です。それでも毎年コツコツ申告するかどうかで、10年単位ではっきり差が出てきます)
花粉症・アレルギー治療で「対象になる費用」一覧
以下は医療費控除の対象になる主な費用です。
| 費用の種類 | 対象 | 備考 |
|---|---|---|
| 診察料(初診・再診) | ○ | 保険診療・自由診療ともに対象 |
| 処方された薬(院外薬局を含む) | ○ | 処方せんに基づくもの |
| アレルギー検査(血液検査等) | ○ | 医療機関での検査費用 |
| 舌下免疫療法の薬代(シダキュア・ミティキュア) | ○ | 処方薬として対象 |
| 通院交通費(電車・バス) | ○ | 実費。領収書がなくても記録があればOK |
| 鍼灸・按摩 | △ | 医師の同意書がある場合のみ |
| 入院費 | ○ | 食事代(医療機関が提供するものの自己負担分)も含む |
アレルギー検査は診察の一環として行われるため、対象になります。検査の種類や費用の目安については→アレルギー検査の種類と費用|血液検査・皮膚テスト・郵便キットを徹底比較で詳しく解説しています。

「対象にならない費用」の落とし穴
花粉症対策でよく使うけれど、控除の対象外になるものをまとめました。
- マスク・空気清浄機(「予防用品」として対象外)
- 健康診断・人間ドック(異常が見つかり治療に進まなかった場合)
- 市販の整腸薬・サプリメント(医薬品でも予防用途とみなされやすい)
- スギ花粉エキス系のサプリ(医療行為ではないため)
- 通院時のマイカーガソリン代(原則対象外)
「空気清浄機を医療費控除に使えると思っていた」という方は多いです。治療目的か予防目的かが判断の分かれ目で、予防グッズは基本的に対象外になります。
市販薬はどちらがお得?医療費控除 vs セルフメディケーション税制
市販薬(OTC医薬品)は、通常の医療費控除では「医療費」に含められません。ただし「セルフメディケーション税制」という別の控除制度が使えます。
セルフメディケーション税制とは
2017年に始まった制度で、条件を満たすと「スイッチOTC医薬品(処方薬から転用された市販薬)」の購入費用を控除できます。
- 控除額 = 年間購入費 − 1万2,000円(上限8万8,000円)
- 適用条件:健康診断や予防接種など、健康維持のための取り組みを年1回以上行っていること
花粉症の市販薬(アレグラFX・クラリチンEX・ザジテンなど)はこの税制の対象品目です。→花粉症の市販薬おすすめ比較|眠くならない薬の選び方
どちらを選ぶ?判断の目安
2つの制度は併用できません。どちらか有利な方を選びます。
| 状況 | 有利な選択 |
|---|---|
| 通院・処方薬が年間10万円以上 | 通常の医療費控除 |
| 市販薬中心で通院はほぼなし | セルフメディケーション税制 |
| 健康診断を年1回受けていない | 通常の医療費控除(セルフメディは使えない) |
| 家族の医療費も合算できる | 通常の医療費控除が有利になりやすい |
年間医療費が10万円に届かないけれど、市販薬には1万2,000円以上使っている、という方にはセルフメディケーション税制の方が有利になるケースが多いです。

舌下免疫療法の長期費用と還付試算
舌下免疫療法(シダキュア・ミティキュア)は3〜5年の継続投与が一般的です。費用がまとまるため、医療費控除との相性が良い治療法です。
シダキュア(スギ花粉)の薬代は1ヶ月あたり約3,000〜4,000円(3割負担)。通院費・診察料を合わせると年間5〜6万円程度になります。
家族分を合算すると10万円を超えやすい
医療費控除は世帯全員の医療費を合算できます。生計を一にする家族であれば、扶養の有無に関わらず合算可能です。共働きの配偶者も、生計が同一であれば合算の対象です。
| ケース | 年間医療費の目安 | 控除額 | 還付額試算(税率10%) |
|---|---|---|---|
| 本人のみ・舌下免疫療法あり | 約6万円 | 対象外(10万円未満) | — |
| 本人+配偶者の医療費合算 | 約13万円 | 約3万円 | 約3,000〜4,000円 |
| 4人家族・複数人通院中 | 約18万円 | 約8万円 | 約8,000〜10,000円 |
(「意外と少ない…」と思った方、正直なところそうなんです。医療費控除は特効薬的な節税ではなく、毎年地道に申告することで積み重なるものです)
舌下免疫療法の仕組みや総費用の詳しい内訳については→舌下免疫療法とは?効果・費用・期間をわかりやすく解説をご覧ください。
通院交通費・オンライン診療・郵送薬のグレーゾーン
通院交通費
電車・バスの交通費は対象です。領収書が出ないことも多いため、通院日・交通手段・金額をメモやアプリで記録しておくと申告時に役立ちます。
(花粉症の通院って月1〜2回のことが多いですが、バス代でも年間1,000〜2,000円くらいになります。記録が地味に手間ですが、私は通院当日にスマホのメモへ打ち込む習慣にしました)
マイカーのガソリン代は原則として対象外です。公共交通機関が利用しづらい地域の場合など、例外が認められるケースもあるため、判断に迷う場合は管轄の税務署へ確認してください。
オンライン診療・郵送薬
2024年時点で、オンライン診療の診察料は医療費控除の対象です。処方せんに基づいて薬局から配送された薬の代金も対象になります。なお、配送料は対象外になるのが一般的です。
オンライン診療の活用方法については→[オンライン診療で花粉症・アレルギー性鼻炎の薬を処方してもらう方法|おすすめサービス比較と費用・手順ガイド]で詳しく解説しています。
e-Taxでの申告手順
医療費控除は確定申告または還付申告で手続きします。申告義務のない方でも、1月1日から5年間さかのぼって申告できます。花粉症の治療を数年続けている方は、過去分もまとめて確認する価値があります。
申告に必要なもの
- 領収書(5年間保存。税務署への提出は不要ですが、求められた際に提示できるよう手元に保管)
- 医療費控除の明細書(e-Tax上で入力・作成)
- 源泉徴収票
e-Taxでの大まかな手順
- 国税庁「確定申告書等作成コーナー」にアクセス
- 「所得税の確定申告書」を選択
- 「医療費控除」の欄に費用を入力(「医療費集計フォーム」にExcelで事前整理しておくと楽)
- 計算結果を確認し送信
よくある質問
シダキュア・ミティキュアの薬代は対象になるの?
はい、対象になります。医師が処方した薬ですので、通常の医療費控除の対象です。薬局での領収書を保管しておきましょう。
家族の医療費は合算できるの?
できます。生計を一にする家族であれば、扶養の有無を問わず合算できます。共働き夫婦でも、生計が同一であれば合算の対象です。
セルフメディケーション税制と医療費控除は同時に使えるの?
使えません。どちらか一方のみを選びます。通院・処方薬が多い方は医療費控除、市販薬中心の方はセルフメディケーション税制を検討してみてください。
まとめ
花粉症やアレルギー治療にかかる費用は、領収書を保管して申告することで一部を取り戻せます。舌下免疫療法のように長期にわたる治療は特に、家族の医療費と合算することで控除の実益が出やすくなります。
市販薬をメインに使っている方には、セルフメディケーション税制の方が有利になるケースもあります。毎年の申告が面倒に感じる気持ちはよくわかりますが、5年さかのぼれることも覚えておくと、出遅れても取り戻せます。
税務の判断は個人の状況によって変わるため、具体的な申告については管轄の税務署または税理士にご確認ください。

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