こんにちは、編集部の恵方巻子(えほう まきこ)です。
毎年6月になると、保護者の方からよくこんな声を聞きます。「プール授業が始まるけど、鼻炎の子どもを入水させていいのか」「授業に集中できていないようで心配」。鼻炎・花粉症は、思った以上に子どもの学校生活に影響を与えます。
この記事では、授業・プール・体育・宿泊行事の場面ごとに具体的な対策を整理し、担任や養護教諭への連絡文例もあわせてご紹介します。
鼻炎は「授業の集中力」にも影響する
鼻づまりがあると口呼吸が増え、睡眠の質が落ちやすくなります。夜よく眠れないから日中ぼーっとする。ぼーっとするから授業に集中できない。この連鎖、地味に長く続きます。
口呼吸は睡眠中の呼吸抵抗を高め、深い睡眠(N3・REM)が減るなど睡眠の質に影響することがあります。睡眠が断片化すると日中の注意力や記憶の定着に影響するという報告が、耳鼻咽喉科・睡眠医学の文献に蓄積されています(Sleep Medicine Reviews 2019 など)。ただし個人差が大きく、全員に同じように影響が出るわけではありません。「ただの鼻水」とあなどっていると、学力面でじわじわ響いてくることもあるので、症状が長引く場合は早めに対処を検討してみてください。
(自分の小学生のときを思い返すと、花粉シーズンの授業がまったく頭に入らなかった日がありました。今になって納得します)
家庭でできること
- 就寝前の点鼻薬や内服薬で鼻づまりを和らげ、睡眠の質を守る
- 加湿器・空気清浄機を寝室に置いて就寝中の花粉・ダニ量を下げる
- 朝食後に薬を飲む習慣をつける(学校へ持参せず、家で投与できるものは家で済ませると楽)
学校側にお願いできること
- 前方・窓から遠い席への配置変更
- 鼻をかむための一時的な離席の許可
- 試験中のティッシュ持ち込み許可
何度も席を立つ子に見えてしまうのが悩ましいですが、担任への事前共有があると対応がかなり変わります。
子どもに出ている症状の詳細や受診の目安については、こちらも参考にしてください。
→子どもの花粉症|症状の見分け方・受診の目安・家庭でできる対策
プール授業と塩素|入水させていい?
6月の保護者の最大の疑問は「プール、入らせていいですか?」ではないでしょうか。
鼻炎・花粉症だけを理由にプールを禁止する必要はありません。ただし、プールの塩素剤が水中で生成する次亜塩素酸や、塩素と有機物が反応して生じる結合塩素(クロラミン類)は鼻粘膜を刺激するため、入水後に一時的に症状が悪化することがあります。
プール前後のケアポイント
| タイミング | やること |
|---|---|
| 入水前15〜30分 | 処方された点鼻薬(ステロイド系)をスプレー |
| 入水後 | シャワーで塩素を洗い流し、鼻の中もそっとすすぐ |
| 帰宅後 | 症状がひどければ点眼薬・内服薬で対応 |
症状が重く鼻出血が続く日、前日から強い鼻づまりがある日は、無理に入水させず見学を選択するのが無難です。見学の判断は保護者と担任が相談して決めれば十分で、医師の診断書は原則不要です。
(学校によっては「診断書を」と言われることがありますが、毎回かかりつけに走るのは現実的ではありません。担任と養護教諭にあらかじめ状況を説明しておくだけで、かなり話が通りやすくなります)

体育・運動会・マラソン大会の注意点
激しい運動は鼻粘膜の血流を増やし、一時的に鼻づまりが悪化することがあります。花粉の多い日は屋外での大量吸入リスクも高まります。
運動前のチェックリスト
- 当日の花粉・PM2.5情報を確認(Yahoo!天気などで確認できます)
- 抗ヒスタミン薬の眠気が出る場合、運動当日は就寝前投与に変更できるか医師に相談する
- 症状がひどければ種目の一部見学も選択肢に入れる
運動誘発性の鼻症状が強い場合は、耳鼻科でロイコトリエン受容体拮抗薬(モンテルカスト等)の処方を相談してみてください。第一世代抗ヒスタミン薬より眠気は出にくいとされますが、気分の変化・攻撃的な行動・睡眠障害・うつ症状といった精神神経系の副作用が報告されており、米国FDAは2020年3月に黒枠警告を追加しています。日本でも添付文書に精神神経系の副作用が明記されているため、子どもへの使用は医師から副作用について十分な説明を受けたうえで判断してください。
学校での薬の管理|持参・保管・投与のルール
学校での薬の取り扱いルールは学校ごとに異なります。文部科学省の学校保健に関するガイドライン・通知では、処方薬については「医師の指示がある場合に限り、養護教諭等が管理・介助できる」とされています。一方、市販薬(一般用医薬品・OTC)については、医師の指示がなくても保護者の同意があれば管理・介助が可能です。
学校に伝えるべき情報リスト
- 薬の名前・剤型(錠剤・点鼻薬・目薬など)
- 投与のタイミング(昼食後など)と用量
- 子ども本人が自己投与できるか否か
- 緊急時の対応(アナフィラキシーリスクがある場合は特に重要)
- 保護者への連絡タイミング
担任・養護教諭への連絡文例
学期の始めや症状が出始めた時期に、以下のようなメモを渡しておくと伝わりやすいです。
○組△△の保護者です。子どもはアレルギー性鼻炎(スギ・ヒノキ花粉)と診断されており、現在〇〇耳鼻科にて治療中です。
学校生活では以下の点でご配慮いただけますと助かります。
– 授業中に鼻をかむための一時的な離席を許可していただく
– 昼食後に点鼻薬(〇〇スプレー)を使用することがあります(本人が自分で使用できます)
– 症状が強い日はプール見学を希望することがあります何かご不明な点があれば、いつでもご連絡ください。
テンプレートはあくまで参考として、お子さんの状況に合わせて調整してください。
薬の選び方・年齢別の使える薬については以下の記事に詳しくまとめています。
→子どもの花粉症・アレルギー性鼻炎の薬 完全ガイド|年齢別に飲める市販薬・処方薬・点鼻薬の選び方

給食と口腔アレルギー症候群(OAS)に注意
「リンゴを食べると口がかゆくなる」という子どもが、花粉症の子に意外と多いです。これは口腔アレルギー症候群(OAS)と呼ばれるもので、花粉アレルゲンと果物・野菜のたんぱく質の構造が似ているために起こるクロス反応です。
スギ・ヒノキ花粉症ではトマトとの交差が報告されており、シラカバ(白樺)花粉症ではリンゴ・モモ・キウイ・セロリなどとの交差が多く見られます。
→シラカバ花粉症の症状・時期・対策完全ガイド|北海道だけじゃない白樺花粉と口腔アレルギーの関係
給食でこれらの食材が出たとき、「嫌いで食べない子」と思われてしまうことがあります。担任への共有を忘れずに。万が一アナフィラキシーのリスクがある場合は、「学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)」を医師に記載してもらい提出してください。
宿泊学習・修学旅行の対策
数泊の行事は、薬の管理が格段に難しくなります。事前に準備しておきたいポイントをまとめます。
持ち物チェックリスト
- 処方薬(日数分+予備1〜2日分)
- 防ダニ枕カバー(環境が変わると症状が出やすくなる子には特に有効)
- ポケットティッシュ(多めに)
- 緊急連絡先を書いたメモ(スマホを持たせられない低学年の場合)
学校への事前相談ポイント
- 薬の管理を担任・養護教諭のどちらが担当するか確認する
- 症状悪化時の保護者への連絡基準を話し合っておく
- 「防ダニ枕カバーを持参したい」旨は事前に伝えておくとスムーズ
宿泊行事は、子ども自身が症状を自己管理する練習の場でもあります。「今日は鼻がひどいから点鼻薬を使う」という判断が少しずつできるよう、日頃から声かけしておくと行事でも慌てません。
(まあ、最初はなかなか自分から言い出せないんですよね。親が「どう?今日は薬使った?」と毎日確認する日々が続くのが現実ですが)
よくある質問
何歳から耳鼻科を受診していい?
年齢制限はありません。アレルギー性鼻炎は2〜3歳から発症することもあります。くしゃみ・鼻水・鼻づまりが2週間以上続く、毎年同じ時期に悪化するなら、耳鼻科を受診してみてください。血液検査でアレルゲン(原因物質)を特定できます。
子どもの鼻炎薬って眠くなるの?
第二世代抗ヒスタミン薬(セチリジン・ロラタジン・フェキソフェナジン等)は第一世代より眠気が出にくいとされています。ただし同じ第二世代でも眠気の出やすさには差があり、セチリジンはロラタジンやフェキソフェナジンと比べてやや眠気が出やすい傾向があることが知られています。最初は休日に服用して様子を確認するのが安心です。年齢によって使える薬が変わりますので、かかりつけ医や薬剤師に確認してください。
毎年薬を飲み続けるしかないの?
症状のコントロールが難しい場合、根本的な治療として舌下免疫療法があります。スギ花粉・ダニに対応しています。保険適用の開始年齢はアレルゲンによって異なり、ダニ(ミティキュア等)は5歳以上、スギ花粉(シダキュア等)は12歳以上が目安です。毎日薬を飲まなくて済む生活を目指すなら、耳鼻科での相談を検討してみてください。
→子どもの舌下免疫療法完全ガイド|何歳から始められる?効果・費用・通院スケジュールを徹底解説
学校に診断書は必要?
プールの見学・薬の持参・座席変更などの配慮は、診断書なしで担任に相談できます。ただしアナフィラキシーのリスクがある食物アレルギーについては「学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)」の提出が求められます(学校保健安全法施行規則第21条)。鼻炎単体であれば書類不要で、保護者から担任へのひと声で大半の配慮は動き出します。
まとめ
子どものアレルギー性鼻炎・花粉症は、授業の集中力からプール・体育・宿泊行事まで、学校生活のあらゆる場面に影響します。最も大切なのは、担任と養護教諭への早めの情報共有です。
薬の選び方や治療方針は、かかりつけの耳鼻科に相談しながら決めてください。症状が強くて薬だけでは管理しにくい場合は、根本から改善を目指す治療法の選択肢もあります。学校生活を少しでも快適に過ごせるよう、できることから一つずつ動いてみてください。


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