こんにちは、編集部の恵方巻子(えほう まきこ)です。
シラカバ(白樺)花粉症は、北海道・東北でスギ花粉の代わりに「春の主役」として猛威を振るうアレルギー疾患です。くしゃみや鼻水といった一般的な鼻炎症状に加え、リンゴや桃を食べると口の中がかゆくなる「口腔アレルギー症候群(OAS)」を起こしやすい点が他の花粉症と大きく異なります。舌下免疫療法のシラカバ対応製剤は2026年7月時点で国内未承認という、知っておくべき情報もあります。
シラカバ花粉症とは|北日本で主役を張る「もう一つの春の花粉」
シラカバ(白樺)はカバノキ科カバノキ属の落葉高木で、北海道や東北の山野・高原に広く自生しています。環境省『花粉症環境保健マニュアル』などが引用する道内の疫学データでは、北海道では成人の約20〜30%がシラカバ花粉に感作されているとされています。スギ・ヒノキ花粉症がほとんど問題にならない北海道において、アレルギー性鼻炎の最大の原因です。
環境省の気候変動影響評価や国立環境研究所の報告では、シラカバの生育域は温暖化により北上・高標高化すると予測されています。ただし、関東・中部の標高の高い地域(日光、軽井沢、富士五湖周辺など)では、気候変動の影響により生育環境が変化し、飛散量に影響が出る可能性が指摘されています。「本州に住んでいるのに春になると鼻炎症状が出るけれどスギ花粉の時期とずれている」という場合、シラカバ花粉が原因である可能性があります。
飛散時期と地域別カレンダー|ゴールデンウィーク前後が峠
シラカバ花粉の飛散時期は地域によって異なります。
| 地域 | 飛散開始の目安 | ピーク |
|---|---|---|
| 北海道 | 4月中旬〜下旬 | 5月上〜中旬 |
| 東北 | 3月下旬〜4月上旬 | 4月下旬〜5月上旬 |
| 関東・中部(高地) | 3月下旬〜4月 | 4月〜5月上旬 |
スギ花粉のピークが終わる4月下旬以降もシラカバが飛び続けるため、スギ・ヒノキに加えてシラカバにも感作されている方は症状が長引きます。ヒノキ花粉との飛散時期の重複にも注意が必要です。
(ゴールデンウィークに北海道旅行をして「急に鼻水が止まらなくなった」という経験がある方、シラカバ花粉に初めて大量にさらされた可能性があります)
飛散情報はウェザーニュースやtenki.jp(日本気象協会)の花粉情報でリアルタイムに確認できます。どちらもシラカバ花粉の飛散予報を掲載しているので、北海道・東北在住の方には特に役立ちます。NHK北海道や道内の気象情報も合わせて参照してください。
→2026年 花粉カレンダー完全版|地域別・花粉の種類別に飛散時期・ピーク・終息を解説

症状の特徴|くしゃみ・鼻水だけじゃない「口のかゆみ」の正体
基本的な鼻炎・結膜炎症状はスギ・ヒノキ花粉症とほぼ同じです。
- くしゃみが連続して出る
- 水っぽい鼻水が止まらない
- 鼻づまり
- 目のかゆみ・充血・涙目
ここにシラカバ花粉症ならではの症状が加わります。それが「口腔アレルギー症候群(OAS)」です。
口腔アレルギー症候群(OAS)とは
OASは、特定の生の果物・野菜を食べたときに口の中・唇・喉にかゆみやイガイガ感が出る症状です。シラカバ花粉の主要アレルゲン「Bet v 1(ベット・ブイ・ワン)」と、一部の果物・野菜に含まれるたんぱく質の構造がよく似ているため、体が「同じアレルゲンが来た」と誤認して反応します。この仕組みを交差反応と呼びます。
(「花粉症なのに果物で口がかゆくなるの?」という疑問、とても自然です。花粉と食べ物が結びつくのは直感的にわかりにくくて、私も最初に聞いたときに「え、どういう仕組み?」ってなりました)
代表的なOASの原因食品を以下にまとめます。
| カテゴリ | 主な食品 |
|---|---|
| バラ科の果物 | リンゴ、桃、洋梨、さくらんぼ、プラム |
| その他の果物 | キウイ、マンゴー(一部) |
| 野菜 | セロリ、ニンジン、パセリ |
| マメ科 | 大豆(豆乳・豆腐で起きやすい) |
| ナッツ類 | ヘーゼルナッツ(一部) |
症状は食べてすぐ(数分以内)に始まり、多くは軽度で30分以内に治まります。ただし、まれにじんましんや呼吸困難などの重篤なアレルギー反応(アナフィラキシー)へ進む場合もあるため、繰り返す・症状が強い場合は耳鼻科かアレルギー科を受診してください。
加熱すると原因たんぱく質(Bet v 1)が変性して症状が出にくくなるケースが多く、「ジャムや缶詰のリンゴなら大丈夫だけど、生のリンゴは無理」という方はOASの典型パターンです。
→花粉症で口の中がかゆい・喉がイガイガする理由|口腔アレルギー症候群(OAS)の原因・食品一覧・対処法
ハンノキ花粉症との違いと共通点
「シラカバとハンノキ、何が違うの?」という疑問をよく受けます。両者はともにカバノキ科に属し、主要アレルゲンの構造がよく似ているため、片方に感作されるともう片方にも反応するケースが多い。この「並存」が混乱の原因になっています。
| 比較項目 | ハンノキ | シラカバ(白樺) |
|---|---|---|
| 科・属 | カバノキ科ハンノキ属 | カバノキ科カバノキ属 |
| 主な飛散時期 | 1〜4月(地域差あり) | 3〜6月(地域差あり) |
| 主な分布域 | 全国(川沿い・湿地) | 北海道・東北・山地 |
| 主要アレルゲン | Aln g 1(Bet v 1と類似) | Bet v 1 |
| OASリスク | 高い | 高い |
| 国内の舌下免疫療法 | 未承認 | 未承認 |
最大の違いは分布域と飛散時期です。ハンノキは全国の川沿いや湿地に広く分布しており、本州でも早春(1〜3月)から飛散します。シラカバは北海道・東北が中心で飛散のピークはハンノキより遅め。関東ではスギ・ヒノキ花粉が話題の中心になるため、シラカバは見落とされやすい花粉です。
「スギ・ヒノキのシーズンが終わっても鼻炎症状が続く、かつ北海道や山の多い地域に住んでいる(または旅行した)」という場合は、シラカバやハンノキへの感作を疑う価値があります。
→[ハンノキ・オオバヤシャブシ花粉症の症状と対策完全ガイド|スギ花粉と重なる2〜4月に見落とされがちな春の花粉症]

診断方法|Bet v 1特異的IgE検査で確認
シラカバ花粉症の確定診断には、血液による特異的IgE検査が中心になります。検査項目に「シラカバ」もしくは「Bet v 1」を指定することで、シラカバ花粉に対する感作の有無と強度(クラス0〜6)が確認できます。
耳鼻科やアレルギー科を受診して「スギ・ヒノキ以外の花粉も調べたい」と伝えると、北日本在住の方にはシラカバを含む検査パネルを提案してもらいやすくなります。皮膚テスト(プリックテスト)でも感作を確認できますが、実施できる医療機関は限られます。
OASの診断は一筋縄ではいきません。血液検査の陽性がそのまま症状の重さと一致しないことがあり、「何を食べたときに症状が出たか」を記録したフードダイアリーが診察の大きな助けになります。
治療と日常対策
薬物療法
シラカバ花粉症の薬物療法は、スギ・ヒノキ花粉症と同じです。抗ヒスタミン薬(内服)でくしゃみ・鼻水・目のかゆみを抑え、ステロイド点鼻薬で鼻づまりを中心とした鼻炎症状を管理します。症状が強い場合は耳鼻科での処方薬が選択肢になります。薬の選び方や成分比較については、添付文書または薬剤師に確認してください。
舌下免疫療法について
シラカバ花粉症に対する舌下免疫療法の製剤は、2026年7月時点で国内未承認です。スギ花粉用(シダトレン・シダキュア)やダニ用(ミティキュア)は保険適用で使えますが、シラカバ・ハンノキに対応した製剤はまだ日本では使えません。
根治を目指したい方にとってはもどかしい状況ですが、現時点では薬を上手に使いながら症状をコントロールするのが現実的な選択肢です。今後の研究・承認状況は主治医に最新情報を確認してください。
(北海道でシラカバ花粉症が重い方にとって、舌下免疫療法が使えないのは本当に切実だと思います。早期承認が望まれます)
日常の花粉対策
北海道のシラカバシーズンはゴールデンウィーク前後の外出機会が多い時期と重なります。基本的な対策は他の花粉症と共通です。
- 飛散情報を毎朝確認し、多い日は外出を控えるか防護を強化する
- 外出時はマスクと花粉対応のメガネやゴーグルを着用する
- 帰宅後は玄関で衣類を払い、洗顔・鼻洗浄を習慣にする
- 窓の開放を最小限にし、換気は花粉の少ない雨後や夜間に行う
よくある質問
シラカバとハンノキ、両方に感作されていることってある?
よくあります。カバノキ科全体で交差反応があるため、シラカバの特異的IgEが陽性の方はハンノキのIgEも陽性になるケースが多い。飛散時期がずれているため2〜6月と長期間症状が続くように感じる方は、血液検査で両方確認してみてください。
OASを起こす果物は完全に食べてはいけないの?
加熱すると原因たんぱく質(Bet v 1)が変性して反応しにくくなるため、多くの方はジャム・コンポート・缶詰なら問題なく食べられます。ただし個人差があり、加熱しても症状が出る場合もあります。繰り返す・のどの腫れや息苦しさがある場合はアレルギー科を受診してください。自己判断で「少し食べてみる」テストは避けた方が安全です。
本州に住んでいてもシラカバ花粉症になる?
なります。関東・中部の高地(標高600m前後の地域)では、日光・軽井沢・富士五湖周辺などにシラカバが自生しています。ハンノキは本州全域の川沿いに分布しており、シラカバと交差反応するため、「関東在住でも春に口腔アレルギー症状が出る」ケースがあります。
まとめ:シラカバ花粉症は「鼻炎+OAS」の両面から対策を
シラカバ花粉症は北海道・東北での有病率が高く、スギ・ヒノキとは異なる花粉カレンダーで動いています。「果物を食べると口がかゆい」という症状があるなら、シラカバ感作を疑う一つのサインです。
治療面では舌下免疫療法が選択できない制約がありますが、薬物療法と日常の花粉対策を組み合わせることで症状を大幅に抑えられます。症状が重い・長引く・OASが繰り返す場合は、耳鼻科やアレルギー科での診察を検討してください。


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