こんにちは、編集部の恵方巻子(えほう まきこ)です。
花粉症の喉症状でいちばん多い原因は後鼻漏(こうびろう)です。鼻水がのどの奥へ垂れ込むことで、かゆみ・イガイガ感・空咳が引き起こされます。対処の基本は「のどを直接ケアする」より「鼻のアレルギー反応を抑える」こと。抗ヒスタミン薬で鼻水を減らすことが、喉症状の改善にも直結します。
花粉症でどんな喉症状が出るの?
花粉症によるのどの症状にはいくつかの種類があります。
- のどのかゆみ・イガイガ感:花粉の直接刺激と後鼻漏刺激の両方が原因
- 空咳・長引く咳:垂れ込んだ鼻水を排除しようとする反射
- 声がれ:咳や粘液の刺激でのど粘膜に炎症が生じた状態
- のどの痛み:炎症が強い場合に現れる(発熱を伴わなければ感染症ではない可能性が高い)
「鼻の症状はそんなにないのに、咳だけずっと続く」という方は、後鼻漏が見落とされていることが少なくありません。
後鼻漏(こうびろう)とは何か
後鼻漏とは、鼻の奥に分泌された粘液がのど側へ流れ込む現象です。健康な状態でも微量は起きていますが、花粉症でアレルギー反応が活発になると分泌量が増え、のどへの垂れ込みが顕著になります。
寝ている間も鼻水は流れ続けるため、「朝起きると咳が多い」「夜中に咳で目が覚める」という症状は後鼻漏の典型パターンです。
(まあ、寝てる間もずっと垂れてるのかと思うと気が休まりませんが、花粉症の喉症状の大半はここが原因なので、対策はそれほど複雑ではありません。)
鼻水・くしゃみが目立たない人でも後鼻漏は起きます。アレルギー反応が鼻の奥や副鼻腔でメインに起きている場合、表に出る鼻症状は少なくても喉への流れ込みは多い、というケースがあるためです。

花粉症の咳 vs 気管支ぜんそく・感染症の咳、どう見分ける?
咳が長引くと「これは花粉症だけの症状なのか」と不安になりますよね。以下を目安にしてください。
| 花粉症(後鼻漏由来) | 気管支ぜんそく | 感染症(風邪・インフル等) | |
|---|---|---|---|
| 咳のタイプ | 乾いた空咳が多い | ゼーゼー・ヒューヒューを伴う | 痰がある湿った咳 |
| 喘鳴(ぜんめい) | 基本なし | あり(呼吸時に音がする) | まれ |
| 発熱 | なし | なし | あることが多い |
| 症状の時期 | 花粉飛散シーズンと一致 | 通年(夜間・早朝に悪化しやすい) | 急に発症 |
| 鼻水・くしゃみ | 同時にあることが多い | 少ない | あることが多い |
「夜間・早朝に咳が特にひどく、呼吸時にヒューヒューいう」場合は気管支ぜんそくの可能性があります。自己判断せず、耳鼻咽喉科または呼吸器内科を受診してください。
咳の原因を問わず、2週間以上続く場合は受診を検討してください。
口腔アレルギー症候群(OAS)との違い
花粉症の時期に「生の果物や野菜を食べると口や喉がかゆくなる」という症状がある場合は、口腔アレルギー症候群(OAS: Oral Allergy Syndrome)の可能性があります。
OASは、花粉のアレルゲンと食物たんぱく質の構造が似ていることで起きる交差反応です。シラカバ花粉症の人はリンゴ・桃・キウイなどで症状が出やすいことが知られています。
後鼻漏による喉症状との主な違いは次の通りです。
- OASは食事中・食後すぐに口・唇・喉のかゆみや腫れが出る
- 後鼻漏由来の喉症状は食事と無関係に一日中続く
- OASで喉が腫れてくる感覚がある場合は、アナフィラキシーの可能性があるため速やかに受診する
(「喉がかゆい=後鼻漏」と思い込んでいたら、実は食後だけの症状だった、というケースはわりとあります。まず食事との関連を確認してみてください。)

日常でできるセルフケアと、その限界
加湿・保湿
室内湿度を50〜60%程度に保つと、のど粘膜の乾燥を防げます。加湿器がない場合は、濡れタオルを室内に干すだけでも効果があります。
うがい・水分摂取
外出後のうがいで花粉や鼻水をある程度洗い流せます。水分をこまめに摂ることも、のど粘膜の潤いを保つうえで有効です。
マスク着用
外出時のマスクは花粉の吸入量を大幅に減らします。ただし、花粉が完全にゼロになるわけではありません。飛散量の多い日は外出時間を短縮するのが得策です。
のど飴・トローチ
一時的なかゆみの緩和には使えます。ただし、後鼻漏の分泌量を減らす作用はありません。「飴でごまかしながら薬は後回し」という状態では症状が長引きます。
喉症状に効く薬の選び方
抗ヒスタミン薬(飲み薬)が基本
後鼻漏の原因は鼻のアレルギー反応です。抗ヒスタミン薬で鼻水の分泌を抑えることが、喉症状の改善にも直結します。市販薬では眠気が少ない第二世代(ロラタジン・フェキソフェナジン・セチリジンなど)が選べます。
用法・用量は各製品の添付文書、または薬剤師に確認してください。
→ くわしくは「第二世代抗ヒスタミン薬の選び方」もご覧ください。
点鼻薬との併用
ステロイド系点鼻薬と抗ヒスタミン薬を組み合わせると、鼻腔内の炎症をより直接的に抑えられます。後鼻漏が特につらい方に有効な組み合わせです。
→ くわしくは「花粉症の点鼻薬おすすめ」もご覧ください。
市販の咳止め薬について
後鼻漏由来の咳に咳止め薬を使っても、根本の鼻水は変わりません。咳の反射を一時的に抑えるだけです。「咳が出るから咳止めだけ飲む」という対処では喉症状がぐるぐると繰り返します。
(薬を探すとき「咳 止まらない」で検索すると咳止め薬しか出てこないんですよね。でも喉症状の根本が後鼻漏なら、飲むべきは抗ヒスタミン薬です。最初に知っておくと損しないポイントだと思います。)
こんな症状が出たら病院へ
以下に当てはまる場合は、耳鼻咽喉科または呼吸器内科を受診してください。
- 咳が2週間以上続いている
- 夜間・早朝に咳がひどく眠れない
- 呼吸時にヒューヒュー・ゼーゼーという音がする
- 発熱・黄色い痰・血痰がある
- 喉の腫れや飲み込みにくさがある
- 市販薬を使っても症状が改善しない
後鼻漏が長引くと副鼻腔炎(蓄膿症)を併発することがあります。咳喘息への移行が起きているケースもあります。「花粉症だから」と放置せず、長引く咳は早めに診てもらってください。
頭痛・だるさなど他の全身症状が気になる方は「花粉症で頭痛・だるさが起きる理由と対処法」もあわせてご覧ください。
よくある質問
鼻症状がほとんどないのに咳だけ出るのはなぜ?
後鼻漏は鼻の自覚症状が軽くても起きています。アレルギー反応が鼻の奥や副鼻腔でメインに起きている場合、くしゃみや鼻水が少なくてものどへの流れ込みは多い、というケースがあります。「鼻はそんなに悪くないのに咳だけ続く」という方に後鼻漏が見落とされやすい理由のひとつです。
花粉症の咳に市販薬は何を選べばいい?
後鼻漏由来なら抗ヒスタミン薬(アレグラ・クラリチン・アレジオンなど)が基本の選択肢です。咳止め薬は一時的な緩和にとどまります。2週間以上続く場合や症状が強い場合は受診が先です。各製品の用法・用量は添付文書または薬剤師に確認してください。
喉のイガイガ感、うがいだけで改善する?
外出後のうがいで花粉を洗い流す効果はあります。ただし後鼻漏の分泌量自体は変わらないため、うがい単体での改善には限界があります。加湿・水分補給と合わせ、必要であれば抗ヒスタミン薬を使うのが現実的な対応です。
花粉症で喉が痛いとき、トローチや市販ののど薬は効く?
のどの炎症・痛みを一時的に和らげる意味では使えます。ただし根本は鼻水の垂れ込みなので、のど薬だけでは症状が繰り返します。発熱がある場合は感染症も考えられるため、医師の診察を受けることをおすすめします。
喉症状は「鼻から攻める」が基本
花粉症の喉症状は、のどを直接ケアするより鼻のアレルギー反応を抑えることが近道です。
抗ヒスタミン薬で鼻水を減らし、必要なら点鼻薬を併用する。セルフケアは加湿・うがい・マスクで補助する。それでも咳が2週間以上続く、呼吸時に音がする、喉が腫れる、という場合は耳鼻咽喉科か呼吸器内科へ。
花粉の多い日の午後に薬を飲み忘れた後の喉のイガイガは、本当につらいものです。「喉だけだから大丈夫」と後回しにしがちですが、早めに対処するほど楽になれます。


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