りんご・洋梨・もも(バラ科果物)アレルギー完全ガイド|花粉症との交差反応・PFAS症状・安全な食べ方まで徹底解説

a bunch of baskets of fruit sitting on a table 花粉症

こんにちは、編集部の恵方巻子(えほう まきこ)です。

毎年秋になると「りんごをかじったら口の中がかゆくなった」「もものコンポートは平気なのに、生のままだと喉がイガイガする」という相談が増えます。花粉症との関係を知らずに、「食物アレルギーになってしまったのかも」と不安になる方が多いのですが、原因はかなりはっきりしています。

りんご・洋梨・もも・さくらんぼなどバラ科の果物を生で食べると口・唇・のどがかゆくなる症状は、「花粉食物アレルギー症候群(PFAS:Pollen-Food Allergy Syndrome)」である可能性がほとんどです。 シラカバやハンノキの花粉タンパクとバラ科果物のタンパクが分子構造上よく似ているため、体が果物を「花粉の仲間」と誤認して反応します。加熱すれば食べられるケースが多く、アナフィラキシーへの移行リスクは低め。ただし全身症状が出た場合はすぐに受診してください。

この記事では、仕組み・症状の段階・バラ科果物ごとのリスク・安全な食べ方・品種ごとの差・受診の目安まで、順を追って解説します。


花粉症なのに果物でアレルギー?PFASの仕組み

交差反応というメカニズム

PFASは「交差反応」によって起きます。シラカバ花粉の主要アレルゲン「Bet v 1(ベット ブイ ワン)」は、バラ科果物に含まれる「Mal d 1(りんご)」「Pru p 1(もも)」「Pyr c 1(洋梨)」と分子構造が非常に似ています。シラカバ花粉に感作(アレルギーが成立)した免疫系がりんごのタンパクを見て「これも花粉だ!」と反応してしまう——それがPFASの正体です。

免疫系からすれば「似たものが来た」だけなので、花粉の飛散量や体調によって症状の出方が変わることもあります。

交差反応の仕組み全体を詳しく知りたい方は、こちらも参考になります。
アレルギーの交差反応(クロスリアクション)完全ガイド|花粉症なのに果物・野菜でアレルギーが出る理由と対処法

原因花粉:シラカバとハンノキがメイン

花粉 主要アレルゲン 主な飛散時期
シラカバ Bet v 1 北海道:4月下旬〜6月上旬、東北:4月上旬〜5月下旬
ハンノキ Aln g 1(Bet v 1と構造が近似) 1〜4月(全国)

「シラカバ花粉症と診断されていないのに症状が出る」場合、ハンノキが原因のことも多いです。環境省「花粉症環境保健マニュアル2019」によると、シラカバの本格飛散は北海道で4月下旬〜6月上旬、東北では4月上旬〜5月下旬が目安です。3月頃に「果物を食べると口がかゆい」と気づいた場合は、シラカバよりハンノキが原因の可能性が高いので、混同しないよう注意が必要です。ハンノキは本州各地に広く分布しており、スギ・ヒノキ花粉症のある人でも気づかずにハンノキにも感作されているケースは珍しくありません。シラカバとハンノキの違い、食物との交差反応の詳細はこちらで解説しています。
シラカバ花粉症の症状・時期・対策完全ガイド|ハンノキとの違い・食物との交差反応まで徹底解説


症状の特徴と重症度:口だけかゆい?全身に出る?

典型的な症状

生のバラ科果物を食べてから数分〜数十分以内に出る症状です。

  • 口の中・舌・唇・のどのかゆみ、ピリピリ感
  • 唇・舌・のどの軽い腫れ
  • 口の中の熱っぽさ、違和感

ほとんどの場合、30分以内に症状が消えます。PFASに特有の「口腔内だけに限定される」パターンが多く、これを「口腔アレルギー症候群(OAS)」とも呼びます。

(症状が消えた安心感でまた食べてしまって、また症状が出る、というパターンに陥りがちです。繰り返し症状が出ているなら、一度受診をおすすめします)

バラ科果物の交差反応リスク一覧

主なバラ科果物の症状が出やすい傾向と、加熱後の食べやすさをまとめました。あくまで傾向値であり、個人差が大きいことをご承知ください。

果物 主なアレルゲン 症状が出やすい傾向 加熱後
りんご Mal d 1 ★★★(最多) ○(多くの場合食べられる)
洋梨 Pyr c 1 ★★★
もも(桃) Pru p 1, Pru p 3 ★★★(Pru p 3は重症注意) △(LTPタイプは熱に安定)
さくらんぼ Pru av 1 ★★
プラム・すもも Pru d 1 ★★
アンズ ★★
いちご Fra a 1 ★(PFASよりも他経路が多い)

※ ★★★が最も多い/重い傾向。

受診・緊急対応の目安

症状 対応
口の中だけかゆい(30分以内に消える) 次回受診時に相談で可
唇・舌・のどが明らかに腫れている 当日中にアレルギー科・耳鼻科を受診
じんましん・腹痛・嘔吐がある 速やかに受診
呼吸困難・意識の変化がある 即刻119番(アナフィラキシーの可能性)

全身症状が出た場合は「いつもよりひどいだけかも」と自己判断せず、医療機関へ。もも(桃)の「Pru p 3(脂質輸送タンパク:LTP)」に感作がある場合は、加熱品でも反応が出ることがあり重症化リスクがやや上がります。


加熱・調理でどう変わる?安全な食べ方と品種の違い

加熱でアレルゲンが失活する

Bet v 1相同タンパク(Mal d 1など)は熱に不安定な構造をしています。60〜70℃以上の加熱で変性し、アレルゲン性が大幅に低下します。

  • アップルパイ・焼きりんご・コンポート → 食べられることが多い
  • りんごジャム(加熱済み)→ 食べられることが多い
  • 缶詰の果物(加熱殺菌済み)→ 食べられることが多い
  • 加熱殺菌済み果汁ジュース → 食べられることが多い
  • 搾りたて生ジュース・コールドプレスジュース → 注意

(まあ、毎日コンポートで対応するのは少し手間ですけどね…。秋の焼きりんごや自家製ジャムを楽しめると思えば、悪くないかもしれません)

ただし、LTP(脂質輸送タンパク)タイプのアレルギーがある場合は加熱品でも症状が出ることがあります。コンポーネント検査(分子アレルギー検査)でLTPへの感作の有無を確認できます。

品種による差(りんごの場合)

りんごの品種によって Mal d 1 の含有量が異なります。

  • 症状が出やすい傾向の品種:ふじ、津軽(つがる)、ジョナゴールド
  • 比較的出にくい傾向の品種:王林、ゴールデンデリシャス

(「王林なら大丈夫」と信じて食べたら症状が出た、という話はよく聞きます。あくまで傾向なので過信は禁物です)

皮をむく効果

Mal d 1はりんごの皮に多く含まれます。皮をむいて食べると症状が出にくくなるケースが報告されていますが、完全に防げる保証はありません。完全除去が不安な方は、まずここから試してみる価値はあります。


診断・検査と受診先

どこへ行けばいいか

  • アレルギー科(アレルギー専門医):コンポーネント検査など詳細な検査ができる。最も確実
  • 耳鼻咽喉科:のど・口の症状がメインなら受診しやすい
  • 一般内科・小児科:施設によって対応が異なるので、事前に電話確認を

主な検査の種類

検査 内容 特徴
皮膚プリックテスト 果物の汁などを皮膚に乗せて反応確認 短時間で即時型アレルギーを確認可能
血液検査(特異的IgE) りんご・桃などへの特異的IgE抗体を測定 コンポーネント検査で重症化リスク予測も可能
口腔内食物負荷試験 医療機関でごく少量から実際に摂取 最も確実。医師の管理下で実施

「慣らし食べ」は自己判断でやらないで

「少しずつ食べて慣らせばいい」と自宅で試みる方がいますが、医師の管理なしの実施はやめてください。口腔内食物負荷試験は、アナフィラキシーに対応できる設備と人員が整った医療機関で行うものです。万が一の際にすぐ対応できる環境が必要です。


Fresh fruits are displayed in a japanese grocery store.

よくある疑問

りんごジュースや缶詰は食べられるの?

加熱殺菌されているジュースや缶詰は、Mal d 1が失活しているため、生のりんごで症状が出る方でも食べられることが多いです。ただし、搾りたての生ジュースや非加熱のコールドプレスジュースは注意が必要です。LTPアレルギーがある場合は加熱品でも症状が出ることがあるので、医師に相談しながら判断してください。

シラカバ花粉症じゃないのに、りんごで症状が出るのはなぜ?

ハンノキ花粉症が原因の可能性があります。ハンノキのアレルゲン(Aln g 1)もBet v 1と非常に近い構造を持ちます。スギ・ヒノキ花粉症のみと思っていても、ハンノキにも感作されているケースは珍しくありません。血液検査で確認できます。

もも・キウイ・メロンなど他の果物でも同じ症状が出る場合、PFASの範囲が広がっている可能性があります。
キウイフルーツアレルギーの症状・原因・対策完全ガイド|花粉症(シラカバ・ハンノキ)との交差反応と口腔アレルギー症候群の見分け方

子どもがりんごで口がかゆいと言ったら、すぐ病院に行くべき?

症状が口の中だけで軽く、30分以内に消えるようなら急ぎではありません。ただし、繰り返し起きている・症状が強くなっている・唇や顔が腫れる・体に症状が出るようであれば、アレルギー科を受診してください。子どもは症状を言葉で伝えにくいため、食事日記(何を食べたとき・どんな症状が出たか)をつけておくと受診時に役立ちます。

花粉が飛んでいない季節でも、りんごで反応するの?

はい、花粉シーズン外でも症状が出ます。体がいちどシラカバ・ハンノキ花粉のIgE抗体を作ると、花粉の飛散がない時期でも交差反応は続きます。ただし、花粉シーズン中は感作レベルが上がるため、同じ量でも症状が強く出やすい傾向があります。


まとめ

りんごや洋梨・もも・さくらんぼで口がかゆくなるのは、花粉症(シラカバ・ハンノキ)との交差反応「PFAS」であるケースがほとんどです。加熱すれば食べられることが多く、ジャムやコンポートを活用するだけで食の選択肢はかなり広がります。

「全身症状が出たことがある」「毎回症状がひどくなっている」場合は、LTPアレルギーの可能性も含めてアレルギー科でコンポーネント検査を受けてください。りんごの旬シーズン(9〜10月)が近づいてきたら、症状に心当たりのある方は今のうちに受診しておくと安心です。

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